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破産法って何だろう?~自己破産の根拠~

破産法って何だろう?.jpg

こんにちは。管理人です。

今回も自己破産についてのお話です。

自己破産に関する手続きは「破産手続」と呼ばれていますが、もう少し詳しく言うと、破産手続は、債務者の財産または相続財産若しくは信託財産を清算する手続のことです(破産法2条1項)。

この破産手続を規律する法律が「破産法」です。

すなわち、破産法とは

「支払不能又は債務超過にある債務者の財産等の清算に関する手続を定めること等により,債権者その他の利害関係人の利害及び債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整し,もって債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るとともに,債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的とする」

法律です(破産法1条)。

自己破産の手続は、「破産法」という法律によって定められています。

本稿では、破産法とはどのような法律なのかについて、ご紹介します。

破産法とは?

破産手続も債務者や債権者の自由自在に実施できるという訳ではありません。当然の事ではありますが、破産手続も法律が根拠となって行われる手続となります。

この破産手続を規律する法律が「破産法」ということです。

破産法は、「倒産法(倒産処理法)」の1つになります。

この倒産法には,債務者の財産を全て処分する「清算型」と呼ばれる型と、すべての財産を処分することまではせずに,債務者の事業や経済生活の再生を目指す「再建型」と呼ばれる型があります。

破産法は清算型の基本となる法律であり、もっと言えば,倒産法の基本となる法律であるともいえます。

また、倒産法は、裁判所の手続として行われる「法的整理」と呼ばれる型のものと,裁判外の手続として行われる「私的整理」と呼ばれる型のものがあります。

破産法に基づく破産手続は裁判手続ということです。

したがって、破産法は「法的整理」の型に属するものなのです。

この破産法には、破産手続の実体法的な側面(破産実体法)を規律する規定の以外に、破産手続の手続法的な側面(破産手続法)を規律する規定の両方が定められています。

破産法の目的

破産法 第1条

「この法律は,支払不能又は債務超過にある債務者の財産等の清算に関する手続を定めること等により,債権者その他の利害関係人の利害及び債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整し,もって債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るとともに,債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的とする。」

破産法の最も重要な目的は、「債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図る」ことです。

すなわち、債権者に対して適正・平等・公平に配当を行い、債権者の権利の確保を図るということを指します。

実は破産法にはもう1つ目的があります。

それは、「債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ること」です。

つまり、「債務者の経済的更正を実現する」ということを意味します。

破産法の主たる目的は債権者の権利の確保ですが、それと同時に、債務者の経済的更生を図ることも破産法の目的とされているというわけです。。

とは言うものの、法人破産の場合は法人は消滅しますから、破産手続後の更生を考える必要は乏しいといえます。

したがって、破産者の経済的更生という目的は、個人(自然人)の破産の場合に特化して向けられた目的といえるでしょう。

破産法・破産手続の存在意義

仮に破産法とそれに基づく破産手続が存在しなかったとすると,債務者が支払不能等になった場合、その債権者は、民事執行法に基づいて債務者の財産に対して強制執行する以外に対応方法はありません。

しかしながら、強制執行は個別に行われますので、全ての債権者が参加するとは言い切れません。

そうなってしまうと、債権者間で早い者勝ちの競争が発生してしまうことになり、債権者の平等・公平が崩れるおそれがあります。さらに債権者同士のトラブルに繋がる可能性も考えられます。

また、特に個人破産のケースですが、破産手続がないと、債務者はずっと債務を担っていくことになり、いつまでたっても再建の余地が無くなってしまうことになります。

そうなってしまったら、債務者の生存権が生涯にわたって脅かされ続けていくことになってしまいます。(人権保障の観点からすれば妥当ではありません)

 それ以外にも、社会経済的に考えれば、破産手続というものが存在していた方がプラスになります。

すなわち、倒産状態に陥った債務者に財産を保有させておく状態よりは、債権者に分配した方が、より有効にその財産を使える可能性が高いですし、経済的更正を果たした債務者が再び社会に貢献してくれる可能性もあるのですから、そのほうが有益であると言うことができます。

もちろん、債権者全員が協議によって債務者の財産を平等・公平・適切に分配するための折衝を行うということも考えられます。(つまり、私的整理や任意整理といった手続です)

しかし、これらの手続はある程度支払がなされることを前提としていますから、おのずと限界があります。

そのため、破産法とそれに基づく破産手続という「法的強制力」を持ち、債権者等の利害関係人全員を巻き込んだ統括的な手続が必要不可欠となってくるというわけです。

言い換えると、「破産法とそれに基づく破産手続があるからこそ、債権者の平等や債務者の経済的更正を図ることができる」のです。

破産法による規律

前述したとおり、破産法は,破産手続を取り決めする法律です。

個人の破産であったとしても、法人の破産であったとしても、基本的に差はありません。

この破産法によって取り決めされることになります。

破産法によると、破産手続は、裁判所によって選任される破産管財人が破産者の財産を調査・管理・換価処分し、それを債権者に弁済または配当するという形式が基本とされています。

この基本的な破産手続の形式のことを、破産管財人による業務が行われることから「管財事件」と称します。

・・・とは言うものの,破産管財人による調査等が不必要なほどに、明確に財産の調査などや免責不許可事由の調査が必要とならないということもあり得ます。

その場合には、「同時廃止」といって、破産手続の開始と同時に破産手続が終結するという例外的手続も、破産法には定められています。

また、厳密にいえば、個人の破産の場合、破産手続をしたといっても、債務の支払が免除されるというわけではありません。

実は、債務免除を受けることを希望するなら、破産手続とは別に「免責」の手続を受け、裁判所から免責許可決定をもらう必要があるのです。

破産法においては個人の破産について、「破産手続」とは別に、この「免責手続」関連の規律も定められています。

さらに、破産手続においては「不正な破産申立て」が想定されます。

これを防ぐために破産法においては、不正な破産申立てについて制裁を加えるために、刑罰法規も設定しています。

いわゆる「破産犯罪」と呼ばれる規定です。

・・・以上、「破産法」について概要をご紹介しました。

いずれにしても、自己破産を申し立てるという場合には、ある程度、破産法の知識も認識しておく必要があると言えるでしょう。

借金生活にお悩みの方々にとって、ご参考となれば幸いです。

では、また。