自己破産で免責されるまでの期間はどのくらいなんだろう?~免責までの期間~
借金をチャラにできる「自己破産」。実際には自己破産において免責の効果が発生するのは、裁判所によって免責許可の決定がされ、その決定が確定したときです。では、いったいどのくらいの期間がかかるのでしょうか?
本稿では,この自己破産で免責されるまでの期間はどのくらいなのかについて,ご紹介いたします。
「免責許可決定」の確定
自己破産においての「免責」とは,借金などの債務の支払義務を免れることを意味します。つまり、借金などの債務を支払わなくてもよくなる(=借金をゼロ(チャラ)にできる)ということです。
自己破産を申し立てる一番の目的は、この免責を得ることに他なりません。
そして、免責を獲得するためには、自己破産を申し立てて、破産手続・免責手続を行ったうえ、裁判所に免責を許可する旨の決定(免責許可決定)を出してもらうことが必要です。
ただし、気を付けなければいけないのは「免責許可決定をしてもらえばすぐに免責の効力が発生する」わけではない、ということです。
免責の効力が発生するのは、免責許可決定が「確定」したときです。
一般的に、免責許可決定の日から2週間後くらいに、官報に免責許可決定がされたことが公告されます。
債権者等の不服申し立てがされないまま公告日の翌日から2週間を過ぎると、免責許可決定が確定します。
したがって,免責を獲得するためには、破産手続開始・免責許可の申立てから免責許可決定が確定されるまでの期間がかかることになります。
どのくらいの期間がかかるのかは,自己破産手続が管財手続なのか同時廃止手続なのかによって異なってきます。
少額管財の場合における免責確定までの期間
繰り返し書いてきましたが、破産手続には、破産管財人が選任される「管財手続」と破産管財人が選任されない「同時廃止手続」があります。
東京地方裁判所などでは、個人の自己破産の場合、管財手続であっても、手続が簡易化されているため引継予納金が少額で済む「少額管財」になるのが通常です。
少額管財事件の場合、通常では、破産手続開始・免責許可の申立てから、3か月後くらいに第1回の債権者集会が行われます。
この第1回債権者集会の時点で、すでに破産管財人の管財業務が終了していれば、以降の債権者集会は開かれません。
配当すべき「破産財団」が無い場合には、「異時廃止」となって破産手続は終結し、一方で、配当すべき「破産財団」が有る場合には、配当手続の期日が指定されることになります。
そして、その後、「免責審尋」に移り、破産管財人から免責に関する意見が述べられて終了となります。
それから、おおよそ1週間ほどの後に免責許可決定がされます。
前述のとおり、「免責許可決定が確定する」のは、免責許可決定日から概ね1か月ほどの時間がかかります。
以上から、「少額管財」の場合では、自己破産申立てから免責許可決定の確定までの期間は、最も短い場合でも4か月ほどかかる、ということになります。。
一方で、第1回債権者集会期日時点で管財業務が終了していない場合には、第2回の期日が指定されます。(管財業務が終了するまで債権者集会の期日が続行されていきます)
それぞれの債権者集会期日の事案によって異なりますが、2~3か月程度かかるのが一般的でしょう。
債権者集会が続行した場合、管財業務が終了すれば、破産手続は「異時廃止」や「配当」となったあと、免責審尋が行われます。さらに、1週間ほどの後に免責許可決定がされます。
ただし、個人の破産の場合には、破産手続の終了まで1年を超える事案はごく一部です。
以上から、少額管財の場合、自己破産申立てから免責許可決定の確定まで「4か月~1年」ほどかかる、ということになります。
同時廃止の場合における免責確定までの期間
同時廃止の場合、破産手続の開始と同時に破産手続が廃止によって終了します。
その後は、「免責審尋」を行うだけになります。
東京地方裁判所などでは、通常では、破産手続の開始・同時廃止から2か月半くらいの後に免責審尋が行われ、その期日からおおよそ1週間ほどの後に免責許可決定がされます。
前述のとおり,免責許可決定が確定されるのは、免責許可決定日から大体1か月ほどの時間がかかりますから、同時廃止の場合では、自己破産申立てから免責許可決定の確定までの期間は「3か月半~4か月」ほどとなります。
・・・以上が「自己破産における免責までの期間」についてのご紹介でした。
本稿が自己破産をご検討されている方々へご参考となれば幸いです。
では、また。