借金生活リセット倶楽部

借金生活から脱却し、人生をリセットする方法を考えるブログです。任意整理・自己破産等、債務整理に関する情報を発信しています!

自己破産が認められないケース~免責不許可事由とは?(その1)~

免責不許可事由とは.jpg
こんにちは。管理人です。
借金生活から脱却する起死回生の必殺技・・・「自己破産」
しかし、自己破産の手続を全て終了したからと言って、必ず免責が許可されるとは限りません。
破産法252条1項各号に列挙された事由がある場合には、「免責が不許可(=自己破産が認められない)」となります。
この破産法252条1項各号に列挙された事由のことを「免責不許可事由」といいます。

主に以下の11のケースが該当します。

(1)不当な破産財団価値減少行為

(2)不当な債務負担行為

(3)不当な偏波(へんぱ)行為

(4)浪費または賭博その他の射幸行為

(5)詐術による信用取引

(6)業務帳簿隠滅等の行為

(7)虚偽の債権者名簿提出行為

(8)調査協力義務違反行為

(9)管財業務妨害行為

(10)7年以内の免責取得など

(11)破産法上の義務違反行為

ただし、免責不許可事由がある場合であっても,裁判所の裁量によって免責が許可されることはあります。(*1)

本稿では、(1)~(6)の免責不許可事由について、ご紹介いたします。

*1 これを「裁量免責」といいます。

免責不許可事由とは?

自己破産を申し立てる最大の目的は、裁判所によって免責を許可してもらうことです。「免責」とは、すなわち、「借金をゼロ(=チャラ)にしてもらうこと」です。

免責を許可してもらい、借金の支払いをしなくても良いという状態にしてもらうこと・・・これこそが、自己破産を利用する最大のメリットといえます。

・・・とは言うものの、「破産・免責の手続が全て終了すれば必ず免責が許可される」わけではありません。

「免責不許可事由」と呼ばれる一定の事由がある場合は、「免責が許可されない(=不許可となること)」があります。

自己破産をしても免責の許可を得られないのでは、申し立てた意味がありません。

したがって、自己破産を申し立てるに当たっては、「免責不許可事由の有無」を前もってよく把握しておく必要があります。

免責不許可事由になるケース

免責不許可事由については、「こういうときは免責されない」という内容が、破産法252条という法律で定められています

具体的な免責不許可事由として11個のケースがありますので、以下で順番に解説していきます。(本稿では(1)~(6)までご紹介します)

(1)不当な破産財団価値減少行為(破産法第252条第1項)

自己破産手続きの直前や、手続き期間中に財産を隠したり、壊したり、誰かに譲ったりすると「不当な破産財団価値減少行為」で免責不許可事由になります。

自己破産による免責が認められると、申立者の借金はすべて免除される代わりに、申立者が所有している財産については現金化して債権者(申立者にお金を貸している人のことです)に分配しなければなりません。

財産を隠したり、壊したりすることで、財産の価値を減少させると、債権者が本来受け取れるはずのお金が少なくなってしまうため、こうした行為をしてしまうと免責不許可事由に該当してしまうのです。

「不当な破産財団価値減少行為」は、具体的には以下の行為などが該当します。

①現金を親族の口座に移す

②所有している不動産を誰かに譲る

③車の名義を変更する

(2)不当な債務負担行為(破産法第252条2項)

自己破産を申し立てて、破産するのを前提にわざと借金をするような行為は、「不当な債務負担行為」に該当するため、免責不許可事由に該当します。

具体的には以下の行為が該当します。

クレジットカードで商品を購入して売却する行為(*2)

ヤミ金など法律で定められている金利(年利20.0%)以上でお金を借り入れする行為

*2 いわゆる「クレジットカードショッピング枠の現金化」です。

(3)不当な偏波(へんぱ)行為(破産法第252条3項)

「不当な偏波行為」・・・あまり聞かない言葉ですが、これは簡単に言うと「債権者を平等に扱わないこと」を指す用語です。

具体的には、次のような行為を指します。

①特定の誰かに優先して借金を返済する

②他の債権者へ損害を与えることを目的として、一部の債権者に返済を行う

たとえば、親や友人が大事だからと、金融機関よりも優先して借金を返済すると「不当な偏波行為」になります。

①の「特定の人へ優先して借金を返済」していますし、金融機関はお金を受け取っていないので、②のとおり、損害を被ったことにもなるからです。

ただし、生活のためにガス・水道・電気代の支払いを行うことや、口座を空にするのを忘れて口座引き落としがされてしまったような場合には「不当な偏波行為」にはなりません。

(4)浪費または賭博その他の射幸行為(破産法第252条4項)

収入とは不釣り合いな浪費や賭博、射幸行為(*3)を過度に行っているような場合は、免責不許可事由に該当します。

具体的には以下があります。

①パチンコやスロットのギャンブル

②ブランド商品の購入

③ホストやキャバクラ通い

④株やFX取引きなど

ただし、裁判所に反省文を提出して生活を改善すれば、裁量免責になるケースが多いです。(*4)

*3 たまたま成功して得られる利益のことを言います。宝くじなどが該当します。

*4 生活改善したことを証明するために、毎月の収支表を提出する必要はあります。

(5)詐術による信用取引(破産法第252条5項)

これは「借金を完済できないと知りつつ、支払いできるフリをして金融機関などから借り入れをする」ことなどを指します。

「詐術」というのは、簡単にいえば相手をだまし信用させて、返済能力はないのにお金を借りてしまうことです。

具体的には、金融機関の審査の際に年収をごまかして借り入れしたのなら「詐術による信用取引」に該当する可能性が高いと考えます。

(6)業務帳簿隠滅等の行為(破産法第252条6項)

仕事の業務や財産に関する書類の偽造や隠蔽をすると、これも免責不許可事由に該当します。

「業務帳簿隠滅等の行為」に該当する書類は、例として、以下のものがあります。

①出納帳

②決算書

③確定申告書

申立者がサラリーマン(=給与取得者)であるなら、副業をしない限り意識する必要はないです。

なお、記入忘れなどの故意に書類を改ざんする行為をしていないなら、免責不許可事由にはなりません。

・・・以上が「免責不許可事由(その1)の紹介でした。

次回は残りのケースについてご紹介しましょう。

では、また。