自己破産における「資格制限」とは?
こんにちは。管理人です。
前回は、「自己破産のデメリット」についてご紹介しましたが、今回もそれに関連したお話です。
自己破産の手続が開始されると,一定の資格を利用することが制限されます。これを「資格制限」といいます。
今回は、自己破産における資格制限とは何かについてご紹介いたします。
自己破産における資格制限
自己破産のデメリットの1つとしてあげられるものに、「資格制限」がありました。
資格制限とは、「破産手続の開始によって一定の資格を得ることができなくなり、あるいは資格を失うこと」を差します。
実は、資格制限は自己破産の根拠法である「破産法」に規定されているわけではありません。
それぞれの資格の取得要件等を定める法律に個別に規定されています。
とは言っても、破産手続開始からずっと資格が使えなくなってしまうわけではありません。
免責許可を受ければ、もとのとおり資格を取得したり,資格を使えるようになったりします。これを「復権」といいます。
自己破産における資格制限が問題となることが多いものは、「警備員」、「生命保険の外交員(生命保険募集人)」、「宅地建物取引主任者(宅建)」などが挙げられます。
資格制限の類型
自己破産によって全ての資格が取得できなったり、使えなくなったりするわけではありません。
制限される資格は限られています。
資格制限の対象となる資格には公的資格や職業に関するものが多くなっています。
また、それだけでなく、一定の私法上の地位(後見人・保佐人・遺言執行者など)も資格制限の対象となる場合があります。
また、資格制限には2つのタイプがあります。
(1)資格が喪失してしまうもの
例えば、「弁護士」、「司法書士」、「公認会計士」、「税理士」、「警備員」、「宅地建物取引主任者」などの資格は、破産手続開始後復権までの間は資格を取得することができないだけではありません。
既にこれらの資格を持っている場合でも、破産手続開始によって、「復権」するまで資格が使えなくなってしまいます。
(2)一定の手続を経て資格が使えなくなるもの
生命保険外交員の場合には、破産手続開始後復権までの間に新たにこの資格を取得することはできません。
しかしながら、破産手続開始時点で既にこの資格を持っている場合には、保険会社が保険外交員の登録を取消し等の手続をとらない限りは資格を使って仕事をすることが可能です。
また、取締役が破産手続開始決定を受けると取締役の地位を失うことになります。これは取締役という資格が制限されているわけではなく、取締役の破産によって会社との委任契約が終了するため、取締役の地位を失うということを指します。したがって,自己破産の手続中であっても、株主総会で再度取締役として選任されれば、またその地位に戻ることができます。
制限される資格の具体例
では、具体的にどの資格が制限されるのかというと実に多種多様な資格があります。
ここでは代表的なものだけ挙げてみます。
- 貸金業者
- 教育委員会委員
- 行政書士
- 警備員
- 建築士事務所開設者
- 建設業(一般建設業,特別建設業)
- 後見人
- 公認会計士
- 質屋
- 司法書士
- 社会保険労務士
- 生命保険募集人
- 税理士
- 宅地建物取扱主任者
- 中小企業診断士
- 土地家屋調査士
- 不動産鑑定士
- 弁護士
- 弁理士
- 遺言執行者
- 旅行業務取扱主任者