借金生活リセット倶楽部

借金生活から脱却し、人生をリセットする方法を考えるブログです。任意整理・自己破産等、債務整理に関する情報を発信しています!

「少額管財」の手続を知ろう!(その1)

少額管財はどう進む?①.jpg
こんにちは。管理人です。
自己破産の管財事件の手続には、通常の管財事件の場合よりも手続が簡易迅速になるよう工夫されている「少額管財」という運用がなされている裁判所があります。

今回は、この自己破産における「少額管財」の手続はどのように進むのかについてご紹介していきましょう。

東京地裁における少額管財事件の流れは以下の通りです。本稿では1~10までをご紹介します。

1.弁護士による無料相談
2.弁護士との委任契約の締結
3.受任通知の送付・取引履歴の開示請求
4.債権調査・過払い金返還請求
5.資産・家計状況の調査
6.免責に関する調査
7.自己破産の手続の選択
8.自己破産の申立書の作成
9.自己破産の申立て(即日面接)
10.破産者の審尋
11.破産手続開始決定・破産管財人の選任
12.破産管財人との打ち合わせ日の調整
13.引継予納金の納付
14.破産管財人との打ち合わせ・面接
15.破産管財人による管財業務の遂行
16.債権者集会・免責審尋
17.免責許可・不許可決定
18.債権者への配当・任務終了報告集会

1 弁護士による無料相談

自己破産をする前に,弁護士等(*1)に法律相談をする場合があります。

現在、債務整理の法律相談は一般的に無料となっています。

この無料相談では、以下の点を伝えて自己破産が可能かどうかを相談することになります。

  • 貸金業者などの債権者
  • その業者との取引の期間
  • 現在の債務の残高
  • 資産・財産の状況
  • 借入れの原因
  • 家計の状況   など

*1 他に司法書士も依頼できますが、本稿では弁護士を中心に進めます。

2 弁護士との委任契約の締結

法律相談の結果、自己破産を弁護士に依頼することになった場合には、弁護士との間で委任契約を締結することになります。

おおむね、自己破産の着手金は20万円~35万円程度のところが一般的です。

なお,東京地方裁判所の場合、自己破産の申立ては原則として弁護士を代理人として行うことが想定されています。

3 受任通知の送付・取引履歴の開示請求

自己破産申立てを行うことになった場合、まずは弁護士は債権者に対して「受任通知」(*2)を送付します。

この受任通知の送付によって、貸金業者債権回収会社からの直接の取立てが停止されます。通常、受任通知は、委任契約締結の日に送付します。

また、弁護士は受任通知の送付と同時に、債権の額や契約内容などを請求するとともに、貸金業者に対しては「取引履歴」の開示も請求します。

*2 「介入通知」とも言います。

4 債権調査・過払い金返還請求

次に債権者から提出された資料ををもとに債権額やその内容を調査します。

貸金業者から「取引履歴」が開示された場合には、引き直し計算をして利息制限法に従った債権額を確定し、場合によっては「過払金の返還請求」を行います。

なお、交渉による過払い金の返還が難しい場合には、「過払金返還訴訟」を起こして過払い金の回収を図ることになる場合があります。

5 資産・家計状況の調査

このような債権調査と並行して、資産状況や家計状況も併せて調査していきます。

これらの調査のために、依頼者は通帳など資産に関する書類や家計簿を提出する必要があります。

また、自己破産をしたからといって、全ての資産が換価処分されるわけではなく、保有資産の中には換価処分が不要となるものもあります。そこで、資産の調査を行い、どれが換価処分の対象となり、どれが換価処分しなくて済むのかなども調査しておくことになります。

6 免責に関する調査

以上のような上記債権・資産等の調査に加えて、免責に関する調査も行っておく必要があります。

まず第一に、「免責不許可事由」の有無について調査します。

とは言うものの、「免責不許可事由」があるからといって、必ずしも免責が不許可となるというわけではありません。

一般には、裁判所の裁量免責によって免責が許可されることも少なくありませんので、あらかじめ、この裁量免責が得られるのかどうかを判断するために、調査をしておく必要があります。

逆に、免責不許可事由があるのに「無い」と虚偽の申告をする方が危険です。

もし、免責不許可事由があったことが判明した場合に嘘をついていたことが発覚すると、それこそ裁量免責も受けられなくなってしまいます。

包み隠すことなく、正直に話し、生活を改善するように努力していれば、よほどのことがない限り、裁量免責を受けることができます。

7 自己破産の手続の選択

これまでの債権調査・資産調査・家計調査などに基づいて、自己破産の手続を選択すべきか、それとも他の債務整理手続を選択すべきかということをもう一度確認します。

また、個人の自己破産の手続きでは「少額管財事件」と「同時廃止事件」がありますので、前述の債権調査、資産調査、家計状況の調査などの結果に基づいて、最終的にどちらの手続になるのかという見通しも立てておく必要があります。

8 自己破産の申立書の作成

自己破産を行うためには、まずは、「破産手続開始・免責許可の申立書」を作成しなければなりません。

この申立書には,収支に関する資料、資産に関する資料、家計などを添付する必要があります。

この申立書やそれに添付する書類には、書式(ひな形)が用意されている場合が一般的なのですが、裁判所によって、その内容等が若干異なるけーすもありますから、事前に確認しておくようにしましょう。

9 自己破産の申立て(即日面接)

次に、管轄の地方裁判所に自己破産の申立書を提出することで、自己破産の申立てを行います。申立書には、手数料(*3)、郵便切手を添付します。

申立書が受理された後、官報広告費を予納することになります。

なお,東京地方裁判所本庁では、即日面接という運用があります。

この即日面接とは、自己破産の申立書を提出する際に(または提出後3日以内)、裁判官と代理人弁護士とで、あらかじめ面接を行い,事件の内容の説明をするというものです。

面接の結果、少額管財となるのか同時廃止となるのかが、決められることになります。

*3 手数料は収入印紙で納付します。

10 債務者の審尋

自己破産の申立後、破産手続開始原因があるのかどうか等について調査するために裁判所において、「債務者審尋」が行われる場合があります。

「債務者審尋」においては、裁判官によって、債務者自身に対する質問等が行われます。

なお、弁護士が代理人にとなっている場合には,よほどの問題がある場合を除いて、この債務者審尋は行われません。

ただし、東京地方裁判所本庁においては、原則として申立てから破産手続開始決定までの間に打ち合わせすることが求められています。

・・・以上が「「少額管財」の手続(その1)」のご紹介でした。

次回は「「少額管財」の手続(その2)」をご紹介します。

では、また。