借金生活リセット倶楽部

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自己破産すると生命保険等はどうなるの?~自己破産における財産処分(その3)~

こんにちは。管理人です。

借金地獄からに脱却における必殺技、「自己破産」。

自己破産をした場合には、借金をチャラにしてもらう(=免責を受ける)ために、「自由財産」を除く保有資産を差し押さえられることになります。

 

その「財産処分」について、一つずつ見ていきましょう。

 

今回は「生命保険等はどうなるの?」についてです。

 

自己破産において、生命保険契約はどう取扱うのか?

 

生命保険を解約した場合に戻ってくるお金のことを解約返戻金といいます。

 

金額は保険に加入している期間や保険料、保険契約の内容などによって異なります。

 

ただ、掛け捨ての保険の場合などは、概ね戻ってこないこともあります。

 

当然のことながら、保険の解約返戻金は、保険契約を解約しなければ返ってきません。(*1)

 

しかしながら、この保険の「解約返戻金請求権」も、破産手続上では「資産」として扱われます。

 

破産財団には、「将来の請求権」も含まれるからです。

 

そして、この解約返戻金請求権は、差押禁止債権ではないので自由財産には含まれません。

 

したがって、解約返戻金請求権は「換価処分が必要な財産」ということになります。

 

要するに、以下がのどちらかになるのが原則となります。

 

① 破産者が自ら保険を解約して解約返戻金を破産管財人に渡す

② 破産管財人が保険を解約して解約返戻金を直接回収するかです。

ただし、東京地裁の運用では少々異なります。(*2)

 

*1 解約しない限り、解約返戻金債権も発生していないということになります。

*2 東京地裁では、20万円未満の生命保険解約返戻金請求権は、自由財産の拡張基準(換価基準)により自由財産として取り扱っています。なお、この返戻金見込額は、加入している生命保険全部の解約返戻金見込額合計で計算されます。

 

生命保険以外の保険解約返戻金の取扱い

 

前述の注意書きの*2で書きましたが、東京地裁での運用では、生命保険の解約返戻金だけが自由財産となるとされています。

 

しかしながら、実際には、「自動車保険」や「傷害保険」などの生命保険以外の任意保険も自由財産の拡張の対象とするのが一般的です。

 

以下の生命保険以外の保険も含めて、すべての保険の解約返戻金見込額の合計が20万円未満であれば,自由財産として取り扱われる運用となっています。

 

① 養老保険

② 傷害保険

③ 自動車保険

④ 火災保険

⑤ 地震保険

⑥ 損害賠償保険など

 

ただし、健康保険・厚生年金などの社会保険(*3)は、解約返戻金はありませんので処分の対象外になっています。

 

*3 国民健康保険国民年金も同様です。

 

生命保険等と同時廃止の関係

 

自己破産の申立てにおいて「同時廃止」となる条件は「破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足する」と認めるときです。

 

ですので、解約返戻金見込額の合計と他の財産の合計額をもってしても、破産手続費用を支払うのに不足している場合、「同時廃止」となります。

 

また、東京地裁では、すべての保険契約の解約返戻金見込額合計が20万円未満の保険契約解約返戻金は自由財産として扱われます。

 

要するに、すべての保険契約の解約返戻金見込額合計が20万円未満の保険契約解約返戻金は破産財団に組み入れられないことになりますから、この場合にでは、その他の財産で破産手続費用を支払うのに不足する場合には「同時廃止」となります。

 

例を挙げてみましょう。

申立人は破産手続開始時に保険解約返戻金見込額合計が15万円の保険とそれ以外に10万円の財産を持っていたとします。(他の財産・免責不許可事由は無いものとします)

 

この場合、破産法の原則では、合計で25万円の財産があることになるので「同時廃止」とはなりません。

 

しかしながら、東京地裁の基準では、20万円未満の保険契約解約返戻金請求権は自由財産となり破産財団に組み入れられません。

 

ゆえに、破産財団としては上記の保険契約解約返戻金請求権を除いた10万円しか無いということになります。

 

したがって、20万円の破産手続費用を支払うだけの財産が無いということになるので「同時廃止」となります。

 

なお、繰り返しになりますが、これはあくまで東京地裁の「運用」です。

 

他の裁判所では、財産が25万円あると判断されて「少額管財」となるということもありえます。

 

あらかじめ確認しておく必要があるでしょう。

 

・・・以上が「自己破産すると生命保険等はどうなる?」についてのご紹介でした。

 

本稿が自己破産を視野に入れている方々にとって、ご参考となれば幸いです。

 

では、また。