借金生活リセット倶楽部

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「任意整理」と「自己破産」の中間? 「個人再生」を利用すると、どんなメリットがあるの?

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 借金を抱えている状態だと、年がら年中、借金返済のことが頭を離れず、心が蝕まれるようになります。

金の悩みは万人共通。一時も早く借金問題を解消したいものですが・・・。

 

そんな借金問題を一気に解決するための法的な手続きが債務整理

 

その中でも「任意整理」と「自己破産」の中間的な存在・・・「個人再生」。

「個人再生」を利用するとは、借金を大きく圧縮でき、場合によっては住宅などの財産を維持できるという魅力ある制度です。

今回は個人再生のメリットについて、もう一つの債務整理である「自己破産」と比較する形で、整理していきます。

 

 

 

「個人再生」のメリットしては以下が挙げられます。

  1. 資格制限がない
  2. 債務の原因が影響しない
  3. 持ち家を手放さなくても良いケースがある
  4. 自家用車も手放さなくても良いケースがある

では、それぞれ見ていきましょう。

 

メリット(その1):利用条件としての資格制限がない

 

自己破産では手続きに入ると、免責(借金を返済しなくても良い状態=借金がチャラになる)が認可されるまでの期間に就くことができない、以下のような職業があります。

しかし、「個人再生」ではこのような制限はありませんので、職業を問わずに手続きを利用することができます。

 

メリット(その2):利用するにあたって債務の原因が影響しない

 

自己破産では免責を得られないケースが設けられています。

これを「免責不許可事由」と言います。

「免責不許可事由」として、いろいろなものが規定されていますが、その中で「借入の経緯に関すること」*1もあります。

「借入の経緯に関すること」として以下のようなものがあります。*2

  • 賭博(=「ギャンブル」)による借金*3
  • 投機的な取引による借金*4
  • 転売行為による借金*5
  • 遊興費*6など浪費による借金

 

しかし、「個人再生」では「自己破産」の「免責不許可事由(借入の経緯に関すること)」で規定されているような債務(=借金)の原因は裁判所の認可可否に影響をあたえることはありません。

その点で借金の原因が上記の場合で、債務整理を検討する場合は「個人再生」を選ぶことができます。*7

 

メリット(その3):自宅を手放さなくても良いケースがある

 

一般的に住宅ローンを組む時には「抵当権」を設定しますから、住宅ローンが残っている場合は、その持ち家(自宅)に「抵当権」が付いていますよね。

住宅ローンを完済していなくて、ローンが残っている状態で自己破産の手続きを行うと、銀行や信販会社などの住宅ローン債権者は「抵当権」を行使して、抵当権のついている住宅を「競売」などで売却します。

その競売で売却できたお金でローンの回収を行うことになります。

ようするに「自己破産」を行うと持ち家を手放さなければいけなくなります。

 

しかし、個人再生手続きの場合は「住宅ローンだけは減額せずに支払いを継続し、他の借金は減額する」ということが可能です。

 

これは民事再生法における「住宅ローン特則*8という定めであり、この特則を適用することで、住宅ローン以外の借金を「個人再生」で減額し、かつ住宅ローンを支払い続けることで自宅を維持できるわけです。

 

ただ、この特別条項を利用する場合には、住宅ローンを個人再生手続き開始以前と変わりなく支払い続けなければいけないうえに、その他の債権者に対しても再生計画案に従った返済額を支払わなければいけません。*9

 また、住宅ローンを延滞している場合には、再生計画が確定するまでに、延滞金を全て支払って遅延のない状態にしなければなりません。*10

 

では、実際の返済額を試算してみましょう。

  • 住宅ローンの残高:3000万円(ローン残額が家の価値を上回っている場合です)
  • 住宅ローンの返済月額:10万円
  • 他の借金総額:700万円
  • 他の借金の返済月額:12万円
  • 返済月額の合計:22万円
  • 無理なく返済できる金額:15万円

 

小規模個人再生手続き後は以下のようになります。

  • 住宅ローンの残高:3,000万円(変更なし)
  • 住宅ローンの返済月額:10万円
  • 他の借金総額:140万円(700万円の5分の1
  • 他の借金の返済月額:3.9万円
  • 返済月額の合計:13.9万円

住宅ローン以外の借金が減額されますので、返済月額が13.9万円(8万円程度が減る計算)となり、無理なく返済することが可能となります。

 

メリット(その4):マイカーを手放さなくても良いケースがある

 

自己破産では、

「借金をゼロにするためには、資産価値(換金できるもの)のある財産をお金に換えて借金の返済に充てること」になっています。

 自分名義の財産、例えば自動車の場合、資産価値が20万円超であれば処分(換金)しなければなりません。

これに対し、個人再生では自分名義の自動車の価値は「清算価値」とされますが、その自動車の価値だけ個人再生手続きで返済していけば手放さなくとも良いとされています。。*11

 

例を見てみましょう。

【前提】

  • 借金総額が500万円
  • 150万円の価値のある自動車を保有(便宜上、他の財産はなしとします)

【自己破産の場合】

  • 150万円(自動車を売却してつくったお金)を債権者全員に分配し、残った350万円は免責。

【個人再生の場合】

  • まず、最低弁済額を算出。500万円が100万円に減額。
  • 自家用車の資産価値と比較。150万円(車の資産価値)>100万円(最低弁済額) ∴ 支払額:150万円
  • 150万円を36回で支払うことができれば、車を手放す必要はなし。(月額4万1700円程度の支払い)

つまり、個人再生手続きでは「清算価値保障原則」がありますから、「車を手元に残したまま、自己破産と同額の免責を受けること」は認められない、ということです。

ただし、ローン支払い中の自動車については車そのものが担保になっており、車検証の名義人がローン保証会社であれば、上述の方法は取れません。*12

 

・・・以上が「個人再生」のメリットです。 

ポイントとしては以下の二点となります。

  • 債務超過に至った原因が問われない点」
  • 「住宅・自家用車などの資産を残せる可能性があること」

 

この辺りは弁護士と相談するべきでしょう。どうしても手放したくない愛車であれば、自己破産より免責額が減っても、個人再生手続きを選択するのもアリかもしれません。

 

 

*1:平たく言えば「借金の原因」です。

*2:「免責不許可事由」であったとしても程度によっては自己破産が認められるケースもあります。

*3:身近な例でいうと、「競馬」・「競艇」・「競輪」・「パチンコ」などです。)

*4:先物取引・不動産投資・仮想通貨取引・FX(外国為替証拠金取引)などが該当します。

*5:クレジットカードを利用した現金化(例 新幹線のチケットを大量購入して現金化するなど)などが該当します。

*6:遊びや趣味・娯楽等の飲食費に使った金銭を指します。

*7:もっとも借金総額が5,000万円以下で定期的な収入を今後も得ることができる、という条件はありますが・・・。

*8:正式名称を「住宅資金貸付債権に関する特則と言います。

*9:毎月の返済額について余裕をもって支払うことができる人でなければ、利用できないわけです

*10:延滞額が高額であると難しいことになります。

*11:これを「清算価値保障の原則」と言います。

*12:これは「所有権留保特約」によるものです