個人再生の基本型~「小規模個人再生」を把握しよう!
こんにちは。レディックです。
「債務整理」と呼ばれるのは借金返済を完結させるための減額交渉の1つを指す言葉ですが、2020年の今、かなり周知されている状況です。
「債務整理」の中で裁判所を介して解決する方法で「個人再生」と「自己破産」があります。この二つは「法的整理」とも呼ばれています。
前者の「個人再生」は比較的新しい法的整理です。もともとは法人向けの「民事再生法」に2001年に「個人」を対象として改正が行われました。
「個人再生」についておおまかに言うと債務額の合計が5000万以下という前提で、3年~5年の返済計画*1を作成して返済していく手続きです。この計画に基づいて返済を実行すれば、大幅な借金の減額が認められます。
上記の通り、「個人再生」は民事再生手続の個人版のことで、裁判所が調停するような形で行なわれるのが原則です。
そして、個人再生には「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」という2種類の整理方法が用意されていますが、個人再生のうちでも基本類型となるのが「小規模個人再生」です。*2
なお、個人再生を申立てた人のほとんどは「小規模個人再生」を利用して借金問題を解決しています。
今回は「小規模個人再生」についてご紹介します。
小規模個人再生の利用条件
まず「小規模個人再生」の利用条件を以下のとおり、整理してみました。
- 個人債務者のうち、将来において継続的にまたは反復して収入を得る見込みがあるもの*3
- 再生債権の総額*4のうち、住宅ローンを除くものが5,000万円を超えないこと
- 再生計画案*5は最低弁済額をクリアしていること
- 再生計画が裁判所に認められるためには、債権者の数の2分の1以上の反対がなく、かつ反対した債権者の債権額の合計が全債権額の2分の1を超えていないこと
なお、2の「再生債権総額が5,000万円を超えない」という条件は「小規模個人再生」だけでなく、「給与所得者等再生」でも同様です。
つまり、5,000万円を超える借金については「個人再生」では解決できない、ということになります。
また、上記の中で3の「最低弁済額」について、少々注意が必要です。
次に「最低弁済額」についてご説明します。
個人再生における最低弁済額
「最低弁済額」とは文字通り「お金を借りた人(=債務者)がお金を貸した人(=債権者)に、支払わなければいけない返済額のうち最小の金額」のことです。
表にまとめると、借金総額との関係は以下の通りとなります。
例えば、
- 借金が400万円の場合は最低弁済額は100万円
- 借金が2,000万円の場合は、その20%ということで400万円
となります。かなり借金が圧縮されることになるのがお分かりいただけると思います。
最低弁済額だけでは決まらない?~清算価格を知っておこう~
個人再生では、再生計画における返済総額が、保有資産を換金した場合の金額を下回らないようにしなければなりません。
仮に同じ借金について自己破産を申請して破産手続を行ったとします。
その場合、保有財産を換金して各債権者に配当することになりますが、その換金総額よりも「個人再生」の返済額が下回るようであれば、不公平になってしまいます。
このため、「個人再生」では保有資産の換金=「清算価値」を算出して、これより返済額が下回らないように手続を行うわけです。*6
要するに、「破産の場合の配当よりも多く返済することが債権者の利益のために保証されている」わけです。
この考えを「清算価値の保障」と言います。
また、裁判所が判断する財産(不動産や車)の総額を「清算価格」といいます。これを計算し、借金の総額から計算した最低弁済額と比較して、高い方がその小規模個人再生の最低弁済額となります。
なお、「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」との違いですが、
- 「給与所得者等再生手続」では金融業者等の債権者が再生手続きによって債権額が減額されることについて反対したとしても減額されるのが通常であること
という原則に対して「小規模個人再生手続」では
- 借金を減額することに同意しない債権者が全体の半数以上、または同意しない者の債権額が総額の2分の1を超える場合には借金の減額そのものが認められない
という点があります。。
すなわち、「小規模個人再生手続」では債権者の意向によって借金の減額がされない可能性がある、ということです。
以上が「小規模個人再生」のポイントでした。
借金生活にお悩みの方がのご参考となれば幸いです。
では、また。