任意整理の流れを知ろう!(その3)~専門家に依頼する(=委任契約の締結)
こんにちは、借金生活リセット倶楽部のレディックです。
任意整理の流れ(手続き) をまとめてみましょう。
おおよそ、 以下の順に進めていくことにな ります。
①専門家をさがす
②専門家に相談する
③専門家に依穎する(=委任契約の締結)
1事件の概要
2委任内容(=弁護士に何をしてもらうのか)
3委任する費用について
4違反した場合には解約できること(=解約要件)
④依頼後の流れ
1返済ストップおよび受任通知発送
2弁護士費用の支払い
3債務額の確定と交渉
⑤和解の成立と支払い
今回は「③専門家に依頼する」について整理します。
1.任意整理とは?
「任意幣理」とは、債権者と将来利息のカットや長期分割弁済などの返済の方法や返 済の額について交渉をして、支払いが可能になるような(今よりも良い)条件での合意 を成立させる手続きです。
すべての債務整理の手続きの中で、最もよく利用されるのが、この任意整理の手続きですが、裁判所への申立の必要はなく、自分一人でも行うことができます。
これは他の信務整理が裁判所を介する法的措置*1であるのに対して、任意整理は債権者と債務者との「私的交渉」という位置づけなります。
また、裁判所は関与しませんので、自己破産や個人再生の場合のように、裁判所に提出する書類を用意する必要はありません。
「利息制限法」の上限利率を超える利息の契約がある場合には、利息制限法による引き直し計算を行い、過去に払い過ぎている利息を元本に充当して債務を減らします。*2
そして、将来の利息はカットして長期分割払いをするという交渉や、一括返済するので債務を減額して欲しいというような交渉をしていきます。
なお、「任意整理は私的交渉ですので、自分一人で行うことができる」と書きましたが、債権者相手の交渉については、素人にはハードルが高く、専門家(弁護士や司法書士)に依頼するほうが良いでしょう。
2.整理方法の決定(任意整理)
相談事項をまとめ、弁護士あるいは司法書士と相談します。返済見込額や依頼費用が算定できたら、「任意整理」を採用するか、あるいは他の方法にするかについて検討します。
「任意整理」を採用すると決めた場合には、このタイミングで弁護士・司法書士に介入して「任意整理」する偵権者と介入しない債権者を分ける必要があれば、十分に相談しておく必要があります。
「任意整理」の採用を決めたら、弁護士あるいは司法書士に依頼します。この際に「委任契約書」を締結することになります。この委任契約に何が書いてあるか(=どんな契約なのか)を理解しておくことが大事です。
3.委任契約とは?
まず、「委任契約」というのは、「他人に対し、一定の事務を行ってもらうという契約」です。雇用契約ではないので、委任した側に指揮監督権*3はありません。*4
また、「委任契約」というのは請負契約と異なり、仕事の成果物を引き渡すことが目的の契約ではありません。ですので、語負契約で発生する「成果物責任」はないうえ、依頼した結果が発生しなくても費用を支払う必要があります。そのため、弁護士費用の一部(済手金)は失敗しても戻ってきません。
4.委任契約書の記載事項を理解しよう
委任契約を締結するにあたって委任契約髯を取り交わすことになります。この委任 契約害には以下の事項が記載されています。
- 事件の概要
- 委任内容
- 弁護士報酬の内訳
- 解約要件
- その他注意事項
では、 記載されている内容を見ていきましょう。
事件の概要
事件の概要には「〇〇株式会社に対する債務 200 万円に関する減額交渉」などが書いてあります。*5
委任内容(=弁護士に何をしてもらうのか)
「委任内容」の欄には「債務整理の内容、和解金額、支払条件(回数及び支払開始時期等)、過払い金の返還の内容及び交渉方法(和解もしくは訴訟)について」 一任することが記載されています。
重要な項目ですので、内容をよく確認するようにしましょう。*6
委任する費用について
費用については以下の3点が記載されています。
- 着手金
- 成功報酬金
- 実費
・着手金
着手金というのは、 弁護士が業務を開始する前に支払うべき費用のことです。 ただし、法律相談の段階では委任契約を締結する前ですので、着手金を支払う必要 はありません。 この場合、無料相談が多いですが、有料にしている事務所もあり ます。 (30 分 5000 円など)
また、 着手金は委任内容(任意整理の場合、 減額交渉や返済計画内容の交渉など)が失敗に終わったとしても、弁護士は委任者に返却する必要はありません。(=溢手金は成功失敗に関係なく戻ってきません)
通常の債務整理(任意整理)で、数万円、 個人再生や自己破産で数十万円におよぶ こともあります。
・成功報酬
成功報酬というのは委任業務(委任した内容)が終了した際に依頼者が経済的 な利益を受けた場合に弁護士に支払うお金のことです。
「成功報酬」とあるように債務整理交渉が失敗した場合には、支払う必要はありません。
なお、成功 報酬については「利益の〇〇%」と定められているのが、一般的です。
・実貨
実費というのは、郵便代、 切手代、印紙代、(遠隔地からの依頼であれば)出張費などの費用を指します。 通常、契約締結時に数万円を支払っておき、終了時に清算して余りがあれば返金されます。
違反した場合には解約できること(=解約要件)
委任契約では弁護士や司法書士に幅広い裁量が与えられることになります。 それゆえ、弁護士や司法書士が依頼者の意向に沿わない活動を行う場合には、解約することができます。 このこと(=解約要件)について委任契約書に記載してあります。
ただし、 幅広い裁量が与えられている、 ということは活動について広い範囲で解約要件を定めなければいけなくなります。
それを一つ一つ想定して記載することは現実的ではありません。 このため、「方針について意見が相違したとき」などのような大雑把(おおざっば)な記載がされているのが一般的です。
つまり「全然、 自分の事案を処理してくれない」とか「勝手に違う(依頼者である自分の意向と異なる)方針で進めようとしている」ときに解約できるわけです。
また、委任契約は法律上ではいつでも基本的に解約できるので、この点は留意し ておきましょう。
以上が「任意整理における委任契約の締結」です。
なお、一度契約書を締結してから、委任活動中にいろいろと不満・気がかりな点などが出てくることもあります。
締結までは遠慮なく質問して、納得してから依頼しましょう。
ご参考になれば幸いです。では、また。