借金生活リセット倶楽部

借金生活から脱却し、人生をリセットする方法を考えるブログです。任意整理・自己破産等、債務整理に関する情報を発信しています!

自己破産すると給料やボーナスはどうなるの?~自己破産における財産処分(その4)~

こんにちは。管理人です。

借金地獄からに脱却における必殺技、「自己破産」。

自己破産をした場合には、借金をチャラにしてもらう(=免責を受ける)ために、「自由財産」を除く保有資産を差し押さえられることになります。

その「財産処分」について、一つずつ見ていきましょう。

 

今回は「給料やボーナスはどうなるの?」についてです。

 

すでに受領している給与・ボーナスの取扱い

 

勤務先から給料・ボーナスなどがすでに支払われている場合、その金銭が現金として保管されているのであれば「現金」として、預金・貯金口座に入っているのであれば「預金・貯金」として扱われます。

 

したがって、その金銭の出どころが給料等であったかどうかということには関係なく、現金または預貯金として換価処分すべきか否かが決められることになります。

 

ただし、特に給料の場合は、最低限度の生活のために必要になるという場合が少なくありません。

 

これを全部処分しなければならないとすると、生活自体ができなくなり、破産者の経済的更生を妨げる可能性がでてきます。

 

そこで、例えば、破産手続開始の直前に給料が預金口座に振り込まれた結果、預金残高が20万円以上となってしまったという場合を想定してみましょう。

 

この場合は、東京地裁の運用であっても、20万円以上の預金は換価処分対象となるのが原則です。

 

しかしながら、預金の内容が生活に必須である給料であるという点を考慮して、さらに自由財産の拡張を認めてくれるという場合があります。

 

まだ受領していない給料・ボーナス請求権の取扱い

 

破産手続開始の時点で、まだ支払われていない給料・ボーナスがあるという場合は法的に言うと、給料・賞与・ボーナスを請求できる債権があるということになります。

 

この給料等の請求権も債権という財産です。

 

(1)給料・ボーナス請求権の取扱いの原則

 

この給料等の債権は、そのうちの4分の3は差押禁止債権となりますが、残りの4分の1は差押えが可能な財産とされています。(*1)

 

したがって、給料債権の4分の3は自由財産となり処分不要ですが、残りの4分の1の部分(*2)は自由財産とはならず、換価処分しなければならないのが原則です。

 

ただし、処分の対象となるのは、「破産手続開始決定の時点で発生している給料・ボーナスの請求債権」だけです。

 

そうでない給料等の債権はそもそも換価処分の対象にはなりません。

 

例を挙げてみましょう。

 

申立人は月給制で、9月25日に次の給料である20万円が入ってくるとして、9月20日に破産手続が開始したとします。

 

この場合、破産手続開始決定時点で1月25日に20万円の給料をもらえる債権があるということになりますから、20万円の4分の1である5万円だけが換価処分の対象となるということです。

 

翌月の10月25日分などは換価対象とはなりません。

 

*1 給与等の金額が33万円を超える場合には、その給与等の金額から33万円を差し引いた金額全額を差し押さえることができる場合があります。

*2 給与等の額が33万円を超える場合には、4分の1の金額または給与等の金額から33万円を差し引いた金額全額のどちらか大きい金額

 

(2)実務上の取扱い

 

給料・ボーナス等の債権の4分の1相当部分については、東京地方裁判所の財産換価(自由財産拡張)基準でも触れられていません。

 

つまり、自由財産が拡張されるわけではないということです。

 

しかしながら、給料は生活の糧です。

 

例え4分の1の金額であっても、処分対象にになると生活が立ち行かなくなるおそれがあります。

 

そのため、給料債権はほとんど換価処分の対象となっていません。

 

つまり、事実上,自由財産が拡張されているのと同じような扱いになっています。

 

したがって、破産管財人が給料債権の4分の1相当部分を取り立てたりすることはありませんし、4分の1相当金額を納めるように請求してきたりはしません。(*3)

 

また、ボーナスの場合は、最低限度の生活の糧とまでいえないことになっており、その請求権については、4分の1が換価対象となることはありえます。

 

なお,賃金でない収入,具体的には「報酬」などは別です。

 

これは全額換価対象となるのが原則です。(*4)

 

*3 ただし、給与金額が相当高額である場合には換価対象となることもあり得ます。

*4 ただし,実質的には給料と同様であるという場合には、給料に準じて取り扱われることがあります。

 

給料・ボーナス請求権と同時廃止の関係

 

同時廃止となるのは、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるときです。

 

ですから、給料債権の4分の1と他の財産を併せても、破産手続費用を支払うのに足りない場合には「同時廃止」となります。

 

さらに、給料債権は、事実上、「自由財産」として扱われますから、破産財団に組み入れられません。

 

以上から、給料の4分の1相当額は考慮されず、その他の財産で破産手続費用を支払うのに不足するのであれば「同時廃止」となります。

 

これも例を挙げてみましょう。

 

申立人が、破産手続開始時に40万円の給料債権と15万円の財産を持っていたとします。(他の財産・免責不許可事由は無いものとします)

 

この場合、破産法の原則でいくと、給料債権の4分の1の10万円と15万円の財産の合計25万円の財産がありますので、「同時廃止」とはなりません。

 

しかしながら、東京地裁の運用では、給料債権は全額自由財産となり破産財団に組み入れられませんので、破産財団としては10万円しか無いということになります。

 

したがって、20万円の破産手続費用を支払うだけの財産が無いということになるので「同時廃止」となります。

 

とは言うものの、給料・ボーナスの4分の1の金額だけでも、20万円を超えるような場合には「管財事件」となることもあり得るでしょう。

 

・・・以上が「自己破産すると給料やボーナスはどうなる」についてのご紹介でした。

 

月々の給料やボーナスは日々の生活に必要な大事なお金です。

 

その取扱いについては、注意が必要です。

 

自己破産を検討されているのであれば、専門家(弁護士や司法書士)に相談されるのが最も良いと管理人は考えます。

 

では、また。