借金生活リセット倶楽部

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自己破産した場合には「処分しなければならない財産」と「処分しなくてもよい財産」がある

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こんにちは。管理人です。
借金生活脱却の必殺技・・・「自己破産」。
借金がチャラになる代わりに、保有している資産を差し押さえられることは、何となくイメージされている方も多いと思います。
実際のところは、全財産を処分しなければならないわけではありません。

個人の自己破産の場合には、処分しなくてもよい財産(自由財産)が認められています。

したがって、自己破産において処分しなければならないのは、「自由財産に該当しない財産」ということになります。

本稿では、この自己破産した場合に処分しなければならない財産について、ご紹介します。

自己破産における財産の換価処分

破産手続は、破産者の財産を処分して金銭に換価し、それを債権者に公平に弁済・配当するという手続です。

したがって、自己破産においては、破産者の方の財産を処分することが必要となってきます。

自己破産をした場合に処分しなければ財産は、「破産財団」として、破産管財人が管理・処分していきます。

破産財団に組み入れられる財産は、「破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産」が原則ととされています。

この破産財団には、不動産・動産などの「物」だけではなく、金銭の請求権などの「債権」、著作権などの無形の権利なども幅広く含まれます。

さらに、換価できるのであれば、権利とはいえないノウハウなども、ここでいう財産に含まれると考えられています。

自己破産すると全財産が処分されてしまうのか?

前記のとおり、自己破産において処分の対象となり得る財産は、「破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産」であり、しかも、その財産の範囲は、かなり幅広く解釈されています。

そうすると、自己破産をしたら、破産者の方が有している全財産を処分しなければならないということになりそうですが、実際にはそのようなことはありません。

破産手続においては、破産者(債務者)の経済的更生の観点も考慮することも目的の1つとされています。

個人債務者の方が、自己破産をして免責が許可されたことにより、借金が無くなったとしても、その代わりに、すべての財産が没収されてしまうというのではその後の生活が成り立たなくなってしまうことも考えられます。

生活が成り立たなくなってしまうのであれば、自己破産をした意味がまったくなくなってしまいますし、債務者の経済的更生を図るという破産手続の目的も達成できなくなります。

そこで、個人の方の自己破産の場合には、全財産を処分しなければならない、とまではされていません。

財産のうちで「自由財産」と呼ばれる財産に該当する財産は処分しなくてもよいことになっています。(*1)

したがって、個人の方の自己破産において処分しなければならない財産とは「自由財産に当たらない財産」であるということになるわけです。

なお、処分しても換価価値の無いようなものは、当然、換価の対象になりませんし、あまりに廉価で処分コストの方が高いことが明らかです。

つまり、事実上換価価値が無いといえるようなものは、換価対象にはなりえません。

*1 自由財産が認められるのは個人の破産の場合のみです。法人の破産の場合には自由財産は認められていません。したがって、法人の破産の場合には、全財産の処分が必要となります。

自由財産(処分しなくてもよい財産)

前記のとおり、自由財産に当たる財産は、自己破産をしても処分しなくて済みます。破産法上、自由財産に当たるとされているのは,以下の財産です。

① 破産手続開始決定後に取得した財産(新得財産)

② 法律上差押えが禁止されている財産(差押禁止財産)

③ 99万円以下の現金

④ 自由財産の拡張がされた財産

⑤ 破産管財人によって破産財団から放棄された財産

(1)破産手続開始決定後に取得した財産(新得財産)

自己破産において処分の対象となる財産は、破産手続開始決定時に破産者が有している財産とされています。

したがって、破産者の方の財産であっても、破産手続開始決定後に取得した財産は、新得財産」といって、換価処分の対象から外されますので、自由財産に当たるということになります。

(2)法律上差押えが禁止されている財産(差押禁止財産)

破産手続は、制度的にみると、債権者全員による民事執行であるともいえます。

そこで、さまざまな理由から民事執行において差押えすることを禁じられている財産については、破産手続においても換価処分を認めるべきではないといえます。

そのため,差押えが禁止されている財産も、自由財産となります。

(3)99万円以下の現金

債務者の生活の確保のため、現金も差押禁止財産とされます。

ただし、民事執行では、差押えが禁止される現金は66万以下までとなっています。

破産手続では、すでに債務者が経済的に破たんしており、民事執行の場合よりも債務者の生活費が不足しているのが通常であることから、保護される現金の範囲を拡大して,99万円以下の現金は自由財産となるものとしています。

(4)裁判所によって自由財産の拡張がされた財産

上記の財産以外はまったく自由財産にならないのかというと、そんなこともありません。

上記の財産に該当しない財産であっても、自由財産の拡張という制度によって、裁判所が自由財産としてもよいとした財産は自由財産になります。

とは言うものの、自由財産の拡張は、裁判所や破産管財人が判断するものです。

ですから、自由財産の拡張を申し立てれば必ずし自由財産になるというわけではありません。

(5)破産管財人によって破産財団から放棄された財産

破産管財人が換価処分しないと判断して破産財団から放棄することとなった財産も、自由財産となります。

ただし、破産財団からの放棄も裁判所や破産管財人が判断するものですので、必ずしも自由財産となるというものではありません。

・・・以上が「自己破産した場合に処分しなければならない財産(=破産財団)と処分しなくてもよい財産(=自由財産)」のご紹介でした。

個人の財産は「自由財産」を認めることで資産を差し押さえをることができる、となるわけですから、手元に何が残るのかについては十分に把握しておいたほうが良いでしょう。

自己破産を視野に入れておられる方々はいちど、専門家(弁護士・司法書士)に相談されることをおススメします。

では、また。