借金生活リセット倶楽部

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自己破産における「否認権」とは?

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こんにちは。管理人です。
自己破産について、いろいろと書いてきましたが、本日は「否認権」のお話です。
自己破産を申し立てた場合、破産手続開始決定前に処分(換金)した財産であっても、破産管財人「否認権」を行使することによって、「換価処分の対象となる」場合があります。
さて、この「否認権」とはいったい何でしょうか?
本稿では、この否認権についてご説明いたします。

否認権とは?

自己破産の手続では、「破産手続開始決定時」に申立者(破産者)が保有していた財産は、自由財産を除いて、破産管財人によって換価処分され、債権者に配当されることになっています。

ということから、破産手続開始決定のタイミングで破産者が所持していない財産は、換価処分の対象とならないのが原則です。

その一方で、破産手続開始決定前に処分してしまい決定時にはすでに破産者の所持する財産ではなくなっていた財産だったとしても、以下のように、債権者間に不公平を引き起こしたり損害を与えたりするおそれがあります。

①財産の換価処分を免れるためにあえて行われたような場合

②債権者間の公平が損なわれるような場合

そのため、破産法は、破産手続開始決定時点で債務者の所持するものとはいえなくなっている財産であっても、通常なら、破産債権者に配当されたであろう財産に関しては破産財団に組み入れさせることができる、つまり、破産管財人による換価処分の対象となる財産とすることができる、という制度を定めています。

これが、破産管財人による「否認権」という制度です。

簡単に言うと、通常であれば、破産財団に組み入れられて債権者に配当されるはずであったにもかかわらず、債務者の手元から離れてしまった財産を破産管財人が取り戻すという権利(*1)のことを指します。

例を挙げて説明すると・・・。

Aさんには、100万円相当の財産があったとします。

ところが、Aさんは、既に支払不能であったにもかかわらず、Bさんにこの財産をあげてしまいました。(本来であれば、この財産は債権者に配当されるべきものだったはず)

しかし、AさんがBさんに対して財産をあげてしまったため、その財産は債権者に配当されなくなってしまいます。

これは、債権者にとってみれば、極めて不利益です。

そこで、この財産は、あるべきところ、すなわち、「破産財団」に戻さなければなりません。

この財産を取り戻す破産管財人の権能が「否認権」なのです。

*1 権能とは、「ある事柄について権利を主張し、行使できる能力」を指します。

否認権行使の効果

否認権は,破産管財人の有する権能の一つです。

破産管財人によって否認権が行使されると、「破産手続開始決定時点で破産者の有するものとはいえない財産にであっても、その財産は、破産財団に組み入れられ、債権者に対する配当のための換価処分の対象となる」のです。

例えば、申立者が、破産手続開始決定前に第三者にある財産を贈与してしまったとしても、破産管財人の否認権行使により、その贈与はなかったものとされ、それにより,破産手続開始決定時点において、その財産を破産者が有していたのと同様に扱うことができる(つまり、「換価処分」できる)ようになるのです。

否認権の類型

否認権には,以下のような類型があります。

①詐害行為否認

②無償行為否認

③偏頗行為否認

(1)詐害(さがい)行為否認

詐害行為否認とは、破産者がした破産債権者を害する行為を否認する破産管財人の権能のことをいいます。

例えば、「換価処分を避けるため、財産を低価格で第三者に売買してしまった」ような場合がこれに当たります。

(2)無償行為否認

無償行為否認とは、破産者がした財産の無償行為を否認する破産管財人の権能のことを言います。

例えば、「財産をあげてしまった」場合などがこれに当たります。

(3)偏頗(へんぱ)行為否認

偏頗行為否認とは、既存の債務についてされた担保の供与、または債務の消滅に関する行為(偏頗(へんぱ)行為)を否認する破産管財人の権能のことをいいます。

例えば、「両親や友人にだけ、優先的に借金の返済をしてしまった」ような場合がこれに当たります。

・・・以上が「自己破産における「否認権」」のご紹介でした。

何度も書いていますが、「自己破産」は借金問題解決の必殺技でありますが、免責を受けるまでには相応のハードルがあることもまた事実です。

自己破産を視野に入れておられるのであれば、まずは弁護士か司法書士に相談することが一番と管理人は考えます。

では、また。