借金生活リセット倶楽部

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「自己破産」とは?~借金生活から脱却する切り札!~

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自己破産とは?

こんにちは。レディックです。

久々の更新となります。

これまで、「過払い金請求」、「任意整理」、「個人再生」について手続きやメリット/デメリットについて、ご紹介してきました。

今回からは「自己破産」について、ご紹介していきます。

 

「自己破産」に対し「身の破滅」のような非常にネガティブな印象を多く持つ方が多くもいらっしゃると思いますが、そんなことはありません。

「自己破産」は借金生活をリセットして人生を前向きに生きていただくために、そして借金超過で苦しんでいる人を救済するために国が作った制度です。

「自己破産」を申請・認可してもらったからといって、戸籍に残ったり,会社(就職)に影響があるわけではありませんし、家族が保証人でない限り家族にも影響が出るわけではありません。

高価な財産を手放すことになりますが、今後の収入は生活費に充てることができます。

本稿では自己破産がどんなものであるか、整理していきましょう。

 

 

自己破産ってなに?

「自己破産」とは債務整理の種類の一つで「公的な借金を除き民間の借金を全てゼロにする」ものです。

「公的な借金」とは、税金や国民健康保険の滞納分、交通違反の罰金など要は「国に支払うもの」を指します。これらは自己破産をしても免除されません。

また、子供の養育費や交通事故の相手方への損害賠償債務など一身専属的な権利で相手方が不利益を被るものも自己破産をしても免除されません。(注意が必要です)

自己破産は、裁判所に申立書を提出する方法で行いますが、借金を0(ゼロ)にする以上、非常に細かいこと(借金を作ってしまった事情から返済の見通しはあったのか)や多くの書類(通帳や給与明細、加入している保険証券など)の提出を要求されます。

自己破産は破産法という法律に則って手続きが進められますが、その第1条に目的が定められています。

「第1条:

この法律は、支払不能又は債務超過にある債務者の財産等の清算に関する手続を定めること等により・・・(中略)・・・もって①債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るとともに、②債務者について経済生活の再生の機会を図ることを目的とする。」

 

このように、債務整理を検討している人にとって、自己破産を実行する最大の目的は②の債務をなくすことですが、債務者だけでなく、債権者のために清算する(=①)ためのもの)でもあるわけです。

上述のように二つの目的がありますので「債権者のために財産等を清算する手続(=破産手続)」と「債務者のために債務をなくす手続(=免責手続き)」の双方を同時に進めていくということになります。

 

自己破産には「管財事件」と「同時廃止」がある

自己破産の方法は「破産管財人」が関与するか否かで以下の二つに分かれます。

  • 管財事件(20万円以上の財産所持や浪費などが疑われる場合)
  • 同時廃止事件(財産などもなく簡易な破産)

では、それぞれ見ていきましょう。

管財事件とは?

破産手続をするためには、債権者数や債権額、債権者に分けるべき申立人(債務者)の財産額を調査し、破産手続が完了するまで管理し、債権者に配当を分ける必要があります。

また、申立人の債務の原因や対応状況によっては免責が認められない場合もあるので*1、調査する必要もあります。

しかし、破産申立ては現在、個人の自己破産だけで年間7万件以上に及びます。このため、個々の事案の調査や財産管理等を裁判所が行うのは困難なため、これらの業務を行うものとして破産管財人を選任します。*2

このように「破産管財人」が選任されたうえで進んでいく破産事案を「管財事件」と言います。

「管財事件」になってしまうと、「同時廃止事件」に比べて破産管財人費用も20万円~30万円ほど発生するため*3、コスト的な負担が非常に多くなる上に、郵送物を破産管財人の管理にされ、一定期間自宅に自分宛の郵送物が届かなくなったりします。

同時廃止とは?

「管財事件」に対して「同時廃止」という制度もあります。

同時廃止の概要

もともと「破産管財人」が選任されるのは、申立人の財産の調査・管理・配当、免責不許可事由の調査を行うためです。

しかし、破産手続を行うにも費用がかかります。

破産者に破産手続の費用をまかなうだけの財産がないことが判明している時にまで破産管財人を選任しても、あまり意味がありませんし、申立人の経済的な負担となります。*4

以上の事情から破産手続が始まるのと同時に終了させる制度が「同時廃止」です。「同時廃止」では破産手続自体が即座に終了しますから、破産管財人が選任されることなく、免責手続だけが進むことになります。

なお、破産者に財産が十分に残されていることは多くないため、個人の自己破産の多くは同時廃止の手続によって行われます

同時廃止が成立する要件

「同時廃止手続」の要件は裁判所が「破産財団をもって破産手続の費用を弁済するのに不足すると認めるとき」と定められています。

ここでいう「破産財団」とは債務者(=破産申請を申立てる人)の持っている資産を指しています。つまり、破産者の資産が破産手続費用より少ない場合は手続開始と同時に終了!(=同時廃止)となるということです。

また破産手続費用とは破産管財人への報酬等を指していますが、少なくとも20万円以上の資産があるかどうかが基準となります。

同時廃止にならないケース(その1)

上述の通り、法律の上では資産(財産)の有無のみが同時廃止の要件として定められていますが、資産の有無が申立時点で明確でない場合もあります。

そのような場合、本来であれば、申立時点で十分に行うべき資産の調査が不十分であった場合では資産の状況を管財人が調査・評価の必要があるとして管財事件となる場合もあります。

また、申立時点で資産がないと思っていても換金できるもの*5がある場合はこれを資産とするため、管財事件となります。

同時廃止にならないケース(その2)

資産が全くない場合でも管財事件になる場合があります。

それは「免責不許可事由」(=債務をなくすことができない事由)がある場合です。

どういうことかと言うと、免責不許可事由の有無は破産者の債務の原因や破産に至るまでの経緯(財産の処分方法、破産手続における破産者の態度(!)等をよく調査しないと判別できません。

ただし、この調査・判断も裁判所が全部行うことは難しいものです。

このため、免責不許可事由がある、と疑念を持たれた場合はその存在有無を判断することを目的として、破産管財人が選任されることになるわけです。

また、免責不許可事由があったとしても裁判所はその事情が十分に理解できるものであれば、裁量で(ここも大事です)破産者の免責を許可することができるのです。

以上のような詳細な調査が必要なので、破産管財人が選ばれるわけです。

 

・・・以上が「自己破産とは?」ということで「自己破産」に関するご紹介でした。

*1:これを「免責不許可事由」と言います。

*2:ほとんどの場合、「破産管財人」は弁護士から選任されます。

*3:破産管財人費用は裁判所によって異なります。

*4:実は「破産管財人」の報酬は申立人が負担することになっています!

*5:例えば生命保険の解約返戻金や過払い金などが当たります。