借金生活リセット倶楽部

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免責不許可事由とは?~自己破産が認められないケース~(その2)

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こんにちは。管理人です。
前回は「免責不許可事由とは?(その1)」を書きましたが、今回はその続きです。
免責不許可事由は以下のケースが該当します。

(1)不当な破産財団価値減少行為

(2)不当な債務負担行為

(3)不当な偏波(へんぱ)行為

(4)浪費または賭博その他の射幸行為

(5)詐術による信用取引

(6)業務帳簿隠滅等の行為

(7)虚偽の債権者名簿提出行為

(8)調査協力義務違反行為

(9)管財業務妨害行為

(10)7年以内の免責取得など

(11)破産法上の義務違反行為

ただし、免責不許可事由がある場合であっても,裁判所の裁量によって免責が許可されることはあります。(*1)

本稿では、(7)~(11)の免責不許可事由について、ご紹介いたします。

*1 これを「裁量免責」といいます。

免責不許可事由とは?

自己破産を申し立てる最大の目的は、裁判所によって免責を許可してもらうことです。「免責」とは、すなわち、「借金をゼロ(=チャラ)にしてもらうこと」です。

免責を許可してもらい、借金の支払いをしなくても良いという状態にしてもらうこと・・・これこそが、自己破産を利用する最大のメリットといえます。

・・・とは言うものの、「破産・免責の手続が全て終了すれば必ず免責が許可される」わけではありません。

「免責不許可事由」と呼ばれる一定の事由がある場合は、「免責が許可されない(=不許可となること)」があります。

自己破産をしても免責の許可を得られないのでは、申し立てた意味がありません。

したがって、自己破産を申し立てるに当たっては、「免責不許可事由の有無」を前もってよく把握しておく必要があります。

免責不許可事由になるケース(その2)

免責不許可事由については、「こういうときは免責されない」という内容が、破産法252条という法律で定められています。

具体的な免責不許可事由として11個のケースがありますので、以下で順番に解説していきます。

(7)虚偽の債権者名簿提出行為(破産法第252条7項)

自己破産手続では、申立者が借金をしている債権者すべてを一覧表にした書類(*2)を裁判所に提出する必要があります。

この一覧表(債権者名簿)に、故意で架空の債権者の名前を記載したり、わざと債権者の記入をしなかったりした場合は、免責不許可事由に該当します。

しばしば見られるのが、「親・友人・知人」などの借金を返済したい人の名前をわざと債権者名簿に載せないケースです。

債権者名簿に名前を記載して破産手続を行うと、借金は帳消しになってしまうからです。

親しい人にはきちんと返済したい気持ちがあったとしても、債権者名を債権者名簿に記載しないと、免責不許可事由になります。(*3)

*2 「債権者名簿」といいます。

*3 債権者名簿に債権者の一部を記入し忘れたような場合は、免責不許可事由には該当しません。

(8)調査協力義務違反行為(破産法第252条8項)

裁判官書記もしくは破産管財人に、破産手続に関する説明を拒んだり、虚偽の発言をしたりした場合には「調査協力義務違反行為」として、免責不許可事由に該当します。

財産を隠すなどの不誠実な態度を取ってしまうと、破産手続を進めてもらえなくなってしまいます。

借金は約束通りに返済するのが大原則ですから、申立人が自己破産をすると、債権者には大きな損失を与えることになります。

その埋め合わせとして、債権者は、申立人の財産を公平に分配して受け取る権利が認められているのです。

「調査協力義務違反行為」は、このような債権者の権利を害することになります。

 

(9)管財業務妨害行為(破産法第252条9項)

破産管財人が行う調査に対して妨害をすると「管財業務妨害行為」に該当するため、免責不許可事由になります。

破産管財人の業務は以下のとおりです。

①破産者との面談

破産者の財産を売却して現金化すること

③破産者を免責にすべき理由があるかどうかについての調査

④債権者集会(*4)で債権者に対して破産者の状況や手続きの進行について説明すること

*4 債権者集会…自己破産手続の中で、債権者に集まってもらい、破産者について調査した内容を報告する集会

 

(10)7年以内の免責取得など(破産法第252条10項)

過去7年の間に自己破産をして免責の許可を得ている場合や、 個人再生のうち給与所得者等再生による再生計画を認可されている場合は、免責不許可事由になります。

個人再生には小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類があり、後者の個人再生を過去7年以内に行っている場合には免責不許可事由に該当します。

なお、実際に利用される個人再生のうちほとんどは小規模個人再生ですので、個人再生後に自己破産を行うことが認められないケースはまれといえます。(*5)

*5 過去に自己破産による免責や給与所得者等再生による再生計画を認可されている人であっても、裁判官の判断によって新たに自己破産による免責が認められるケースは少なくありません。

 

(11)破産法上の義務違反行為(破産法第252条11項)

破産者が手続の際に非協力的な場合は、「破産法上の義務違反行為」に該当します。これも、免責不許可事由になります。

具体的には、財産を隠したり、調査で虚偽の発言をしたりする場合が該当します。

申立人の自己破産手続を進めようとする裁判官や管財人などの指示に従わないと、免責が認められないことがあるという意味です。

・・・以上、2回にわたって「自己破産における免責不許可事由」について、ご紹介しました。

自己破産は借金生活から脱却する「必殺技」ですが、申立すれば必ず免責されるわけではない、ということがお分かりいただえたでしょうか。

自己破産を視野に入れておられるようであれば、まずは専門家に相談することから始めることおススメです。

 

では、また。