借金が減らせるって言うけど、本当に大丈夫なの?~"債務整理の法的根拠"を知ろう!
こんにちは!
借金生活リセット倶楽部のレディックです。
「借金をゼロにできる」
「利息がカットされる」
「借金の支払いが大幅に減少される」
・・・と言われても、
「借金返済のプレッシャーから脱出し、人生をリセットできる?」
「そんなにうまい話がなぜ認められているの」
などと、ご心配になられる方も多いのではないでしょうか。
もちろん、単純に「できる、できない」という点だけに限って言えば、債務整理をすることは可能です。
ただ、当然に認められるわけではなく、あくまで法的な手続きとして行っていくものです。そのため、債務整理は弁護士や司法書士(法務大臣認定)の資格を持っている人間のみが行うことができるものです。
では債務整理の法的根拠を種類ごとに、見ていきましょう。
1.任意整理の根拠
(1)契約自由の原則
任意整理は裁判所を介さずに行う、簡易的な債務整理の手続きですが、その法的根拠は民法の「契約自由の原則」に則ったものとなっています。
「契約自由の原則」とは、「契約の当事者は、基本的にその契約内容や契約するか、どうかを双方の当事者同士で自由に決められる」というものです。日本の民法では以下の4項目がある、と解釈されています。
- 契約を締結するかしないかの自由
- 契約相手を選択する自由
- 契約の内容決定の自由
- 契約の方式の自由
(2)契約解除権
もう一つ、任意整理の法的根拠として「契約解除権」があります。「契約解除権」とは「契約」に附帯しているもので「契約の解除は契約の当事者双方からいつでも行うことができる」とされています。
上述の「契約自由の原則」と「契約解除権」を合わせて「任意整理」の法的根拠が構成されています。
・・・なんだか小難しいですね、では、任意整理についてクレジットカードにおける債務(借金)を例に整理してみましょう。
(3)クレジットカードを例に考えてみると・・・
クレジットカードで買い物をする(決済する)、あるいはクレジットカードによってキャッシングしたり、カードローンでお金を借り入れる、という行為はカード会社との「契約」に基づいて行われています。
クレジットカードを利用されている方は、この「契約」に従ってショッピングの利用やその支払い(清算)、お金の借入れを行っているわけです。
つまり、任意整理では「契約解除権」に基づいて、いったん現在締結している契約内容を解除(=クレジットカード申込時に合意したカードの使用方法・支払方法を解除)し、「契約自由の原則」に従って、カード会社と合意の上で、新たな支払いの契約を締結していくことになります。
もちろん、「契約自由の原則」に従えば、カード会社の了解を得られなければ、任意整理契約は締結できない、というわけです。
ただし実際のところ、カード会社の中で任意整理契約の締結を拒否するところは、ほとんどありません。(クレジット会社・銀行では100%了承を得られ、消費者金融会社の一部のみが拒絶するに留まっています)
(4)任意整理を進めるにあたって、注意すべき点とは?
任意整理の手続きを進めるにあたって注意すべきなのは、任意整理契約はあくまでも自由契約の一つであるため、弁護士や司法書士(=債務者側)の一方的な要求によって、その契約内容を決めることができないということです。
つまり、裁判所を介さずに行う「私的交渉」の結果として「任意整理契約」を締結するというわけです。
以上から、弁護士や司法書士は「私的交渉」を行って、カード会社の意向を踏まえて、任意整理契約の内容を定めていくことになりますが、通常は将来利息や手数料のカットやリボ払いの設定をクリアすることに対してカード会社が拒否するようなことはまずありません。
「でも、任意整理契約を締結することで発生した損害について、カード会社に賠償請求されることになるんじゃないの?」
・・・このような疑問を持つ方もいらっしゃるとは思いますが、契約解除権を行使して、新たに任意整理契約を締結しても損害賠償請求をされることはありません。
なぜなら、損害賠償請求をしてしまうと、任意整理契約自体がそもそも成立しないことになってしまうことや、債務整理の中でも、任意整理はカード会社にとっても一番不利益の少ない債務整理であるためです。(実はこの点が任意整理が成立する大きな要素となっています)
個人再生では大幅に借金は減額され、自己破産では借金はゼロになってしまうので、カード会社からすると、支払いが難しくなった場合に任意整理を選択してもらえるのは「最悪な状態ではなかった(自己破産や個人再生を選択されるよりはずっとマシだ)という考え」になるわけです。
・・・お分かりいただけたでしょうか?
債務整理の中でも一番ハードルが低いのは「任意整理」ですが、それは債務者(お金を借りた側)だけではなく、債権者(お金を貸した側)にとっても交渉に応じやすい、というわけなんですね。
2.個人再生~民事再生法が根拠
次に「個人再生」の根拠について見ていきましょう。
個人再生は民事再生法という法律が根拠となります。
元々、民事再生という手続きは法人向けのものであり、「破産することなく、なんとか再生したい」という法人に向けて向け適用されていました。
しかし、民事再生は法人を対象としている手続きのため、個人が行うには、手続きが複雑であり、ハードルが高かったものでした。
そこで、民事再生法の中で特に個人向けの再生手続きとして、個人再生法が、民事再生法第13章で構成されることになりました。
民事再生法第一条では個人再生を含めて、民事再生の目的が以下の通り、規定されています。
(第一条)
- この法律は、経済的に窮境にある債務者について、その債権者の多数の同意を得、かつ、裁判所の認可を受けた再生計画を定めること等により、当該債務者とその債権者との間の民事上の権利関係を適切に調整し、もって当該債務者の事業又は経済生活の再生を図ることを目的とする。
つまり、経済的に窮地に陥っている(借金の返済で生活費がほとんど残らない、毎月の給料のほとんどが返済に消えている)などの事情があって、個人再生をすることで生活の改善が図れるという再生計画を提出して、裁判所に認可(=お墨付き)をもらえれば個人再生が認められるというわけです。
3.自己破産~破産法が根拠
任意整理や個人再生と比べると自己破産は歴史の深い整理方法で、一度はお聞きになったことがあると思いますが、この自己破産は破産手続きは「破産法」を根拠に認められています。
破産法の目的は以下のように規定されています。
(第一条)
- この法律は、支払不能又は債務超過にある債務者の財産等の清算に関する手続きを定めること等により、債権者その他の利害関係人の利害及び債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整し、もって債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るとともに、債権者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的とする。
ポイントは、「支払不能」という点です。同時に破産法では「破産手続開始の原因」を以下のように定めています。
(第15条)
ただ、注意すべき点として、「裁判所に申立てをすれば誰でも破産が認められるわけではない」ことが挙げられます。破産が認められるかそうでないかは、「支払不能」が条件になりますので、 申立ても審議の結果、「自己破産が認められない(=免責されない)」場合もあります。
あくまでも「支払不能」であり、裁判所に申立てを行って「破産を認めるべきである」という裁判官の判断があって、初めて自己破産は認められるわけです。
この破産法15条により、「支払不能(=支払いができない人)」は裁判所に申立てを行うことで破産手続きを利用できることになります。
・・・以上が「債務整理」の法的根拠となります。
どうでしょう?ご理解いただけたでしょうか?
今回はちょっと固いお話でした。次回は「債務整理のメリット」について整理してみたいと思います。
では、また。