借金減額幅が大きくて自宅が残せるのがウリだけど、「個人再生」のデメリットって何があるの?
こんにちは。レディックです。
2000年以前は消費者金融が最盛期だった時代ですが、債務整理については「自己破産」が中心でした。
「債務整理」はバブル時代における消費者金融等からの借金対策に、2000年くらいから採用されてきた方法であり、国の方も新しい制度の制定などで力となりました。その中に一つ、「個人再生」は民事再生手続の個人版のことで、裁判所が調停するような形で行なわれるのが原則です。
さて、前回も「個人再生のメリット」の記事に書きましたが、「個人再生」では借金を大きく圧縮でき、住宅などの財産を維持できるという魅力ある制度です。
しかしながら、メリットのみで借金整理ができるなんて、世の中、あんまりナメちゃいけません(笑)
当たり前ですが、借金を減額できるわけですから、代償もあるわけです。
・・・というわけで本稿では「個人再生のデメリット」についてご紹介します。
- 個人再生のデメリットについて把握しよう!
- デメリットその1:「ブラックリスト」に載ってしまう
- デメリットその2:「官報」に記載されてしまう
- デメリットその3:経済的な負担は「自己破産」よりも大きい
- デメリットその4:弁護士選任が原則
個人再生のデメリットについて把握しよう!
「個人再生」のメリットは以下がありましたよね。
- 「個人再生」では借金を大きく圧縮できる。
- 住宅などの財産を維持できる。
このメリットを享受しようと「再生手続を進めたい!」と思っても、個人再生については裁判所が「再生計画にOKを出すこと」が必須条件です。
実はこの再生計画案の認可の難易度ががそれなりに高いために、個人再生に踏み切るのを尻込みする人が多いようです。
「法的整理」における「煩瑣(面倒)な手続き」は当然なことですので、本稿におけるデメリットからは除外します。*1
それ以外の「個人再生」のデメリットは概ね、以下の通りとなります。
- 「ブラックリスト」に載ってしまう
- 「官報」に記載されてしまう
- 経済的な負担は「自己破産」よりも大きい
- 弁護士選任が原則
では、順番に見ていきましょう。
デメリットその1:「ブラックリスト」に載ってしまう
「個人再生」の申立てを行い、裁判所の決定によって借金が大幅に減額されたり、自宅や自家用車を維持した状態で借金整理ができた、とします。
しかしながら、晴れて再出発をスタートできたとしても、その「個人再生手続を行った」という事実*2は「信用情報機関」に登録されることとなります。
これを俗に「ブラックリストに載る」と言います。
「事故情報」が登録される信用情報機関は主に「日本信用情報機構」、「シーアイシー」、「全国銀行個人信用情報センター」の3つです。
「債務整理(個人再生)実施の実績」が登録されている期間は5年~10年*3であり、その期間は新規借入やクレジットカードの新規発行は難しくなります。
以上の点に留意し、「個人再生」の手続きに入る前に「数年間(最悪の場合は10年間)は新たに借金ができない」ということを十二分に覚えておいてください。
デメリットその2:「官報」に記載されてしまう
「官報」とはいったい何でしょうか?
ウィキペディアでは
「官報(かんぽう)とは、日本国の機関紙である。国としての作用に関わる事柄の広報および公告をその使命とする。」
と記載されています。
つまり、国家が国民に広く知らせるべき事項が掲載されていることになります。
それでは、「個人再生」の手続きを経て「再生計画案」が認可されると「官報」に何が記載されてるのでしょうか?
それは以下の3回のタイミングで申立人の名前・住所が載ることになっています。
- 個人再生手続開始決定がされたとき
- 再生計画案が提出されたとき
- 再生計画認可(あるいは不認可)の決定がされたとき
「官報」に記載されるということは、自身が「個人再生」を行った、と言う事実が広く知られる、ということを意味します。
このデメリットを忌避して「個人再生」を敬遠する人も多いのですが、実際には「官報」には非常に細かい字で、多くの個人名や住所について記載されていますので、「官報」を目にして知り合いに「個人再生」手続きを行った、ということが知られるということはほとんどないと言えます。*4
それよりも「官報」に記載されてしまったことでの懸念事項を挙げるとすれば以下の点でしょう。
「官報」への記載については以上です。
なお、余談ですが、「官報」に掲載される人の氏名・住所が細かい字で記載されているということは、とりもなおさず、それほど多くの人が借金返済で苦労していることにもなります。
デメリットその3:経済的な負担は「自己破産」よりも大きい
まず、「自己破産」は借金が「チャラ(ゼロ)」にできますが、「個人再生」手続きは「自己破産」とは異なり、借金が減額されるものの、必ず一定額は返済しなければいけません。
ですので、「経済的な負担は(「自己破産」より)大きい」ことが挙げられます。
というわけで個人再生手続きを利用するには、以下の条件に限定されると考えられます。
借金生活で悩んでいる人にとっては、いろいろな選択肢がありますから、どの選択肢が良いかの判断は難しいですので、専門家(弁護士や司法書士)に相談した方が安心だと思います。
デメリットその4:弁護士選任が原則
繰り返しになりますが、「個人再生」手続きは裁判所が介在して借金問題を解決する「法的整理」です。
このため、必要書類も多種多様であり、自身で独力で行うにはかなりハードルが高いものです。ある地方裁判所のホームページには「一般的に、弁護士に依頼せずに、本人で日常の仕事に従事しながら、個人再生の申立て手続きを遂行していくことは、実際には相当に難しいと思われます」と記載されていました。
では、弁護士や司法書士に依頼すると費用はどれ位かかるのでしょうか?
事務所によってかなり異なるようですが、以下の金額が一般的なようです、
- 司法書士に依頼する場合:20万円~30万円
- 弁護士に依頼する場合 :30万円~50万円
では、なぜ司法書士と弁護士とでは費用が異なるのでしょうか?
以下の点によるものとなります。
- 司法書士は基本的に「個人再生」手続きに必要な書類作成を主に行うにとどまり、裁判所へ申立人と一緒に出廷にすることがない。
- 弁護士に依頼する場合は裁判所とのやり取りを含めて全て弁護士が代理人として行うことができる。
この依頼内容の差がその分の費用の差になるというわけです。
ただ、債務整理にもお金が必要ですが、一般的に分割支払いもできます。
つまり、基本的に「弁護士費用に阻まれて借金問題が手つかず状態になる」ということはないと言って良いでしょう。
確かに結構な金額がかかってしまいますから、広い意味でこれもデメリットと言えるかもしれません。
とにかく安く済ませるのであれば司法書士に依頼することです。*8、
また、金銭的な余裕があれば弁護士に依頼するほういが良いと思います。*9
以上が個人再生のデメリットとなります。
ご参考にあれば幸いです。
*1:ある意味、「裁判所からのお墨付き」を得るわけですから、手続きの面倒さは覚悟する必要がありますね。
*2:これを「事故情報」と言います。
*4:・・・というか普通に考えて可能性はゼロに近いと考えます。
*5:「闇金」は「債務整理」をして「お金に困っている人」にお金を貸そうとするわけで、毎日官報を閲覧するのも業務の一環というわけです。
*6:自己破産手続きを行うと借金がゼロになる引き換えに現在の職業をやめなくてはならないため。
*7:もちろん住宅ローンがまだ完済していな場合です。
*8:そのためには申立人として法律の知識を含めて相応の努力が必要です。
*9:借金返済で金銭的な余裕などないのが通常ですが、分割支払いなどを利用しても、代理人として弁護士に依頼したい人が多いです。