お得な整理方法:「個人再生」の手続きについて知ろう!①~「申立て」から「再生手続開始決定」まで~
「借金は自己責任だから、法的整理に頼るなんてできないよ」と債務整理は選択しないと心に決めているような潔い(?)方もいるのではないでしょうか?
・・・とは言っても一昔前と異なって、借金返済は容易ではなくなってきているというのも事実です。借金で困った場合は*1、債務整理を進めるべきと管理人は考えます。このままだと、独力で借金解決を試みても、解決にはほど遠いこととなります。
さて、債務整理には「任意整理」、「個人再生」、「自己破産」などがあります。
そのうち、「個人再生」は民事再生手続の個人版であり、裁判所が裁定する形で行なわれることになっています。更に言うと、個人再生には小規模個人再生と給与所得者等再生といった異なる整理方法があり、借金を大幅に圧縮し、自宅などの資産を維持できるケースもあるなど、「お得な」整理方法とも言えます。
では、「個人再生」はどのように手続きを行うのでしょうか?概ね、以下のように進みます。
- 申立て
- 個人再生委員の選任
- 再生手続開始決定
- 個人再生委員との面談
- 再生計画案の提出
- 再生計画案の認可(不認可)
- 再生計画通りの返済開始
今回は「個人再生手続き(上述の1~3)」について具体的な流れをご紹介します。
申立て
まず第一に「個人再生手続き」の利用を希望する旨を管轄する裁判所に申立てます。
「個人再生」では住宅ローンは対象外と書いてきましたが、住宅ローンが残っている持ち家を手放さないで「個人再生」を行いたい場合は、別途その手続きを求める申立ても同時に行います。*2
申立ては基本的に自分の住所地を管轄する裁判所で行いますが、管轄はどこの裁判所かは裁判所のHPで確認できます。*3
また、申立ての際には「債権者一覧表」「財産目録」等の書類の準備が必要です。これらの書類は収集・作成にかなりの時間と労力が必要となりますので、申立の前から計画的に準備することが必要です。
弁護士に依頼する場合には、ある程度、これらの書類の記載内容を整理しておくと良いでしょう)。
具体的には以下を把握しておくことが大事です。
- 借金の借入先の名前(銀行、消費者金融、個人等)
- 各借入先からの借入額、借り入れた日、毎月の返済額
- 各借入金の担保、保証人の設置状況
- 自分名義の資産(土地・建物、自動車、株、貯金、退職金等)
- 自分(および家族)の収入と支出の状況
- 返済可能な(かつ無理のない)月々の金額の目安
個人再生委員の選任
「個人再生手続」の申立てが受理されると「個人再生委員」が選任されます。*4
「個人再生委員」は裁判所が選任する弁護士で、その役割は、個人再生手続きの申し立てた者(=申立人)の財産および収支状況を調査し、申立人が作成する「再生計画案」について必要なアドバイスやサポートを行うことです。
この「再生計画案」とは「ルールに従って減額された借金の総額を36回*5に分割して、毎月払います」というような内容で「個人再生手続の全体像(=今後の返済計画)」が書かれたものと言えばイメージできるでしょうか。
「個人再生委員」は申立人の負債や所有資産を調査し、資料の不足箇所があれば補充を要求したり、資産の調査(現地での確認等)を行って、「再生手続開始決定」を出すかどうかかについて裁判所に意見書を提出します。
この意見書をもとに裁判所は「手続きの開始決定」や「借金をどのように「減額するか」等を決定しますので、「個人再生委員」の役割はとても重要です。
再生手続開始決定
申立てを受けて、書類に不備がないことを確認した裁判所は、個人再生委員が選任されていれば、その意見を聞いたうえで、「再生手続開始決定」を出します。*6
これによって、「個人再生手続」が終了するまで「全ての債権者に対する返済は禁止」されます。
一方、債権者から申立人への「取立行為をすることも禁止」となります。
また、同様に申立人は「裁判所の許可なく財産を処分することも禁止」されます。
再生手続手続開始決定後、「申立人は個人再生委員に対し、申立書に記載した月の返済予定額を支払う」ことになります。(多くの場合、6か月間です)
この6か月間は個人再生手続によって減額された返済額を、毎月支払うことができるか、というリハーサルとなりますので、遅れずに支払うことが必要です。*7
このリハーサルにおいてもし支払いが滞ってしまうことがあれば、「個人再生手続において借金が減額されたとしても支払いを継続することが不可能である」と判断され、手続きそのものが廃止されてしまうケースもあります。
・・・以上が「個人再生の手続き①~「申立て」から「再生手続開始決定」まで」のご紹介でした。