任意整理後の借金返済ができない場合、どうするの?
こんにちは、レディックです。
裁判所を介さずに債権者である貸金業者などと「将来利息」や「延滞損害金」などの免除を求めて交渉する、「任意整理」は債務整理の中で最も利用されている方法です。
任意整理に関係する情報は数多くの人が目の当たりにするようになり、将来利息を0円にしてもらったり、返済期間を交渉して月々の負担額を減額してもらったりというメリットは以前より知られるようになりました。
さて、任意整理に関係して懸念されることの一つとして、「任意整理後の借金返済ができないケース」があります。
任意整理後、借金を返済している最中に返済が難しくなったときは、その状態が一時的のことなのか、長期に渡るのかをまず把握するのが大事です。
返済困難な状態が一時的なものであれば債権者と話し合いにより解決できます。長期に渡るとなれば、任意整理以外の方法も検討する必要があります。
・・・というわけで今回は「任意整理後の借金返済ができないケース」についてご紹介します。
- 1.任意整理とは?
- 2.任意整理後に返済できなくなった!まず、最初にすべきことは?
- 3.任意整理後に一時的に返済できない場合の対応方法を知っておこう!
- 4.長期的に返済が不可能な場合の対応とは?
- 5.借金を払えないために一括請求されたら?
1.任意整理とは?
「任意幣理」とは、債権者と将来利息のカットや長期分割弁済などの返済の方法や返済の額について交渉をして、支払いが可能になるような(今よりも良い)条件での合意を成立させる手続きです。
すべての債務整理の手続きの中で、最もよく利用されるのが、この任意整理の手続きですが、裁判所への申立の必要はなく、自分一人でも行うことができます。
これは他の信務整理が裁判所を介する法的措置*1であるのに対して、任意整理は債権者と債務者との「私的交渉」という位置づけなります。
また、裁判所は関与しませんので自己破産や個人再生の場合のように、裁判所に提出する書類を用意する必要はありません。
「利息制限法」の上限利率を超える利息の契約がある場合には、利息制限法による引き直し計算を行い、過去に払い過ぎている利息を元本に充当して債務を減らします。*2
そして、将来の利息はカットして長期分割払いをするという交渉や、一括返済するので債務を減額して欲しいというような交渉をしていきます。
なお、「任意整理は私的交渉ですので、自分一人で行うことができる」と書きましたが、債権者相手の交渉については、素人にはハードルが高く、専門家(弁護士や司法書士)に依頼するほうが良いでしょう。
2.任意整理後に返済できなくなった!まず、最初にすべきことは?
任意整理が終了すると、和解案に従って残債の返済が始まります。返済期間は3年が基本*3ですが、残念ながら、必ずしも返済計画通りに進まないこともあります。
その場合、任意整理後に返済ができなくなる状況としては、「一時的に支払えない」と「長期的に返済不能」の2つのパターンがあります。
返済が困難になって、焦る気持ちや心配でどうしたら良いか不安になってしまうのは、想像に難くないですが、まず、最初にすべきことは「返済が困難なのが一時的なのか長期的なのか」を明確にすることです。
その結果次第で対応方法も変わってきます。
また、「返済困難な状況が一時的か長期的か」を判断する基準は「2ヶ月以上続くかどうか」が目安となります。
なお、家計簿を見て、出ていくお金と入ってくるお金の概算が分かれば目処がつきます。*4
「返済困難なのが一時的」というのは、例えば、想定外の出費が発生して1ヶ月または2ヶ月の間、返済するお金が足りなくなるというような状況です。
では、「長期的に返済できない」というのは、どういうことが想定できるでしょうか?一般的には以下のような状況で定期的にお金が入ってくる収入源がなくなることが想定されますので、把握しておきましょう。
- 病気や怪我による入院。病気や怪我で入院する際には、高額療養費の限度適用認定などにより出費を抑えられます。*5
- 倒産やリストラ。この場合は失業手当がいつからどのくらい支給されるのか調べてみましょう。*6
3.任意整理後に一時的に返済できない場合の対応方法を知っておこう!
任意整理手続き後に一時的に返済が難しくなった場合、まずは、和解契約書を確認してみましょう。ここで大事なのは「期限の利益」です。
「期限の利益」とは?
一般的な任意整理の和解書には、「2か月以上滞納した場合は、期限の利益を喪失する」と記載されています。「期限の利益」とは、法律用語で期限の到来までは債務の履行をしなくてもよいという債務者の権利のことです。契約書にこの文言があることで、債務者は借金を分割で返済できるようになっています。
「期限の利益の喪失」
「期限の利益の損失」とは、債務を分割で返済することができなくなり、残債務を一括で返済せざるを得ない状況を指す言葉です。これは、債務者に返済期日を守らせるために通常契約書に設けられている文言です。これに「債務の元本に遅延損害金を加算して支払う」との文言がプラスされていることもあります。
滞納しそうになったら、まずは債権者に一報を!
もし、返済している途中で期日までに支払うことが難しい状況になれば、できるだけ期日までに債権者に連絡を入れることがベストです。手続きを専門家(弁護士や司法書士)に依頼した場合は、彼らを通して連絡しましょう。
1ヶ月滞納した場合
1ヶ月の滞納程度では、一括返済請求されることはほぼありません。支払期日に所定の金額を支払うのが難しければ、債務者側から「来月の給料日まで待ってほしい」といった一定の期日を示しましょう。
2ヶ月以上滞納した場合
万が一、2ヶ月以上返済が遅れてしまった場合でも、債権者に真摯に状況を説明すれば、何らかの妥協案を示されて一括返済請求を免れることができる可能性はあります。任意整理を行った時点で消費者金融業者等の債権者も歩み寄ってくれているので、真摯な態度で接すれば状況を理解してもらえることもあります。*7
4.長期的に返済が不可能な場合の対応とは?
任意整理手続きが終わった後、分割で返済している最中にリストラや不慮の事故などで収入が途絶えてしまう可能性もあるかもしれません。そのような不測の事態が起こったらどうすればよいのでしょうか。
他の解決手段を取ることも検討
長期的に返済ができない場合は債権者と和解することが困難となります。そして長期的に返済が滞ってしまえば、上記でも紹介したように遅延損害金や一括返済を請求されるといったリスクがあります。そのため、任意整理での債務整理を断念して、個人再生や自己破産といった他の債務整理の手段についても検討することが必要です。もちろん債務整理も遅延すれば様々なリスクがありますが、払えない任意整理を続けるよりも状況はよくなりやすいでしょう。弁護士に無料相談してみることをおすすめします。
個人再生
個人再生とは、減額された借金を債務者自ら立てた再生計画に基づき3年かけて返済する方法です。任意整理に比べると借金額を大きく減らすことができるので、借金額が多い人には個人再生のほうが向いていると言えるでしょう。自己破産と異なり、マイホームや車などの財産を手放す必要はありませんが、手続きは裁判所を通して行われるため手間暇も時間もかかります。
自己破産
自己破産とは、裁判所に申立てを行い、認可が降りることですべての借金を免除してもらう(=借金をチャラにしてもらう)ことができる方法です。借金返済に苦しむ人にとっては最も効果的な方法ですが、最低限の家財道具以外の財産を手放して換金処分しなくてはならないため、債務整理の最終手段です。
5.借金を払えないために一括請求されたら?
任意整理の和解案どおりの弁済ができなくなり、債権者から借金の一括返済請求を受けても無い袖は振れません。そういうときは、債務整理に強い弁護士などの法律のプロに相談することが最善の策です。
・・・以上が「任意整理後の借金返済ができないケース」のご紹介でした。
返済困難な状態が一時的なものであれば債権者と話し合いにより解決できます。長期に渡るとなれば、任意整理以外の方法も検討する必要があります。
どの方法がベストなのかは、弁護士に相談することをおすすめします。
なお、絶対にしてはいけないのが「ヤミ金からの借入」です。任意整理をすると俗に言う「ブラックリスト」に載るため、新たな借り入れができなくなりますが、闇金業者など悪質な業者に情報が漏れて、彼らのターゲットになるおそれがあります。
ヤミ金からの借入は絶対にやめましょう。
いずれにしても、借金問題は時間との戦いです。
まずは、1日でも早く弁護士や認定司法書士に相談を行い、新しい人生の第一歩を踏み出してください。
この記事が借金生活でお悩みの方々にご参考となれば幸いです。
では、また。
*1:これを「任意整理」に対して「法的整理」といいます
*2:任意整理の手続きの中で、利息制限法による引き直し計算を行った結果、「過払い金」が発生していることがあります。大体、2007年以前に開始した取引が対象になります。この場合、過払い金返還詰求を行います
*3:5年間のケースもありますが、それほど多くはありません
*4:既に任意整理しているわけですから、家計簿をつけるなどで自身の家計は把握しているはずですよね
*5:市区町村の役所の窓口などで聞けば教えてくれます
*6:倒産やリストラによる退職の場合は、原則として失業手当はすぐに支給されます
*7:もちろん、厳しい態度に出てくる場合もありえますので、楽観は禁物です